赤外線カメラとサーモグラフィカメラの違いやそれぞれの特徴・用途

新型コロナウイルスの感染対策として、赤外線カメラが注目を浴びており、皆さんもオフィスやデパート、駅、学校などの入り口で赤外線カメラをよく見かけるようになったのではないでしょうか。最近では、「赤外線カメラ」、「サーモグラフィカメラ」、「サーマルカメラ」というものもありますが、同じものなのか、どのような違いがあるのかわからないというお問い合わせを多く頂きます。

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そこで本記事では、「サーモグラフィカメラ」、「サーマルカメラ」と「赤外線カメラ」の違いについて解説するとともに、この中でも特徴的なサーモグラフィカメラのメリットについても紹介していきます。


赤外線カメラとは

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赤外線カメラとは、その赤外線を利用して撮影するカメラの総称です。ヒトの目で見えるのは可視光線域(と呼ばれるごくわずかな範囲のみですが、その赤色より波長が長い領域(かつ電波よりも短い)が“赤外”光です。おおよそ0.7μmから1㎜を赤外線と称しますが、その中で15µm程度までの波長域をとらえることができるカメラを総称して赤外線カメラと呼びます。


サーモグラフィカメラとは

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赤外線カメラの中でも温度を計測することを可能にしたものがサーモグラフィカメラです。特に5µmや10µm近辺の波長帯が一般的に利用されています。ヒトの目には見ることができませんが、絶対零度以上のすべての物体は温度に応じた赤外線の光を自然と放射しています。その光の強弱をとらえ、温度数値を伴う熱分布イメージとしてあらわすカメラがこれにあてはまります。


サーマルカメラとは

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サーマルカメラとは、サーモグラフィカメラと区別して使用されるもので、温度計測を伴わない赤外線カメラの一種です。サーモグラフィ・サーマルカメラが検知する赤外線は可視光と異なり、常温状態の物体からも放射されますので暗闇でも監視カメラとして動物や人を検知したい等、周囲よりも温度が高いもしくは低いものが分かればよいなど、対象物が何度なのかという温度計測は必要ではない場合に用いられます。


サーモグラフィカメラを使うメリット

ここでは、温度計測を行うサーモグラフィカメラについてより深く理解を深めるために、その他の温度計との比較におけるメリットを説明します。

サーモグラフィカメラには、以下3つのメリットがあります。

1.非接触での計測

体温計や熱電対などの温度測定機器の場合、計測箇所に直接触れて温度を計測する必要があります。直接対象物に触れることで、その対象物自体に変化を起こしてしまう可能性があります。サーモグラフィカメラであれば、非接触でヒトの体表面や物体の表面温度を触れることなく計測可能です。

2.温度分布をイメージとして得られること

サーモグラフィカメラは画面上に映る対象物すべての表面温度を一度に確認できるため、周囲の温度と比較して測定することや、肉眼では判別できないわずかな温度変化を検知できます。あらかじめ測定箇所を特定してスポット的に温度を計測する放射温度計に対して、熱負荷がどこにかかっているのかが未知な場合は、温度分布をイメージとして捉えることのできるサーモグラフィが適しています。

関連記事:赤外線カメラの反射とは?測定時に気を付けたいポイントはこちら

 

3.リアルタイムかつ効率的な計測

サーモグラフィカメラは応答速度が速いことから、対象物の表面温度をリアルタイムに計測可能です。サーモグラフィカメラの種類にもよりますが、一般的なもので30fps(1秒間に30枚の画像を更新する)です。時系列的な温度変化なども、サーモグラフィカメラであればスピーディーに把握できます。

 

まとめ

上記のとおり、赤外線カメラには主にサーモグラフィカメラとサーマルカメラの2種類が存在します。温度計測が必要かどうかという点が一つの判断ポイントとなります。また、カメラを使用する目的や対象物に応じて最適モデルも異なります。サーモグラフィカメラを用いた温度計測のご用途は、フリアーシステムズジャパンにお問合せください。

 

この記事を書いた人:

フリアーシステムズジャパン株式会社 植村、赤塚

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