太陽光発電の動向とメンテナンスツール

工業用サーモグラフィ内視鏡カメラ 【FLIR VS290-32 ビデオスコープキット】アプリケーションストーリー

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FLIR VS290-32

 

FLIR VS290;屋根設置のソーラーパネル点検に最適。腰をかがめたり、手をパネルの裏側に差し入れることなくスピーディに点検が可能。

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今回はソーラーパネル診断に強みを持つ神奈川県の企業、新栄電子計測器(株)取締役営業部長の成勢氏にFIT法改正やカーボンニュートラルなど太陽光発電を取り巻く環境と計測器の関係について話を伺いました。

新栄電子計測器株式会社は1978年に神奈川県藤沢市で創業し、検査装置の開発、製造に強みを持つ企業です。昨今、リチウムイオン電池や家庭の屋根に設置されたソーラーパネルは日常的な風景となっていますが、当初はメンテナンスや診断方法が製品に追いついておらず、普及のハードルにもなりかねない状況でした。新栄電子はこうした製品に対していち早く診断・メンテナンスツールの開発に着手し、更にメンテナンス技術の普及活動を行うなど、優れた先見性と技術が特徴の企業です。

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FLIR:太陽光発電を取り巻く環境が目まぐるしく変わっていますが、こうした制度変更を受けて発電事業には何か影響があるのでしょうか。

成勢部長:国が固定価格で買取を行うFIT法の猶予期間失効や抜本見直しなどに伴って、太陽光発電の売電価格が下がっています。例として50kWhの太陽光発電システムを2,000万円で導入し60kWh程度の発電量が得られる場合を考えてみましょう。売電単価がFIT法施行当初の40円ですと年間売電額が240万円、20年間稼働すれば4,800万円となりますが、2021年度の事業用買取価格は約3分の1の12円+税となっています。また発電の30%以上の自家消費が求められるようになったこともあり、純粋な売電のみでの投資対収益を考えると投資対象としての側面は弱くなり、新規の設置は自社ビルの屋上に設置するなど自家発電用途の比率が高まっていくと考えています。


FLIR:事業用と自家発電用途の太陽光発電システムでは何が違うのでしょうか?

成勢部長:発電目的に即した設置方法が選ばれる為メンテナンスにも影響があると考えています。ソーラーパネルは“メガソーラー等”大容量発電システム向けの「野立て」と言われる地面に設置するものと、屋根に設置するものがあります。野立ては発電効率を考慮して適度な傾き(10°~25°)で設置されていることが多く、屋根に設置する場合は設置面積の制約や事故防止の観点から0~5°の傾きで設置されていることが多いです。


FLIR:ソーラーパネルの設置角度がメンテナンスにも影響するのですか?

成勢部長:近年サーモグラフィカメラを不良位置の検出に利用することが一般的になってきましたが、ソーラーパネルを覆うガラスは周囲の赤外線が鏡のように映り込む特性があるため、特に屋根に設置したものは雲、空、太陽が映り込みやすく肝心の発熱箇所「不具合ポイント」が見えにくくなることがあります。野立ての場合はこの映り込みを避けるために裏側から測定するなど工夫の余地がありますが、屋根に設置したものは裏側から覗き込むスペースはありません。

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熱画像上の線状のホットスポットは、ソーラーパネル自身の発熱ではなく、左奥に設置された電柱の反射であることがわかる

FLIR:VS290-32はソーラーパネルの点検でどのように使用できるのでしょうか。

成勢部長:VS290-32は全長2mのケーブルの先に薄いカメラプローブがついています。イメージとしては高所カメラと内視鏡を組み合わせたような形状です。持ち手の先にあるプローブの部分を自由に曲げられるので、撮影アングルを自由に取ることができ映り込みを避けて撮影が可能です。
またカメラ先端部が薄いため、屋根設置のソーラーパネル点検では腰をかがめたり、手をパネルの裏側に差し入れることなくスピーディに点検できたのが助かりました。

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FLIR:近年ソーラーパネルのメンテナンスでは監視機器を取り付けることも一般的になっているようですが、ハンドツールとの使い分けやメリットはどういった点になるでしょうか。

成勢部長:今主流の監視システムはパワーコンディショナー(パワコン)単位でみるタイプが多く、エラーについても系統やパワコンに起因する事象を対象とするものが殆どです。出力低下や発熱モジュールの有無など個別の事象は把握することが困難なため人による点検は今後も必要があるでしょう。VS290-32はハンディ型ではアプローチが難しい屋根設置での検査に優れているので、IVカーブトレーサーなどと併用して大いに活躍してくれると期待しています。

FLIR:ソーラーパネルの保守保全ではIVカーブトレーサーの導入に始まり、サーモグラフィ、ドローンなどの器材導入、制度変更など目まぐるしく環境が変わっていますが、今回は技術、現場の情報に基づく見解とサーモグラフィカメラの活用ポイントを伺うことができました。

 

交換可能な3つのプローブオプション

•VS290-21 – 長さ1m直径19mm全面視タイプサーモグラフィプカメラチップ
•VS290-32 – 長さ2m厚み11mm側面視タイプサーモグラフィ・デジタルカメラチップ
•VS290-33 – 長さ2m直径19mm側面視タイプサーモグラフィ・デジタルカメラチップVS290Plovechange.png

FLIR VS290は、アクセスが難しい場所の温度分布を専門家が素早く安全に発見できるように設計された工業用サーモグラフィ内視鏡です。160×120ピクセルの本格的なサーモグラフィカメラとフリーアシステムズのスーパーファインコントラスト(MSX)*を搭載したVS290は、目に見えないホットスポットを確認・測定することで、設備に壊滅的な故障が発生するのを回避できます。早期発見によって、安全性と信頼性が向上し、メンテナンス費用や交換費用の削減につながります。

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