自動で書き込みを行うソフトウェア: Eigen Innovations社は、オートメーションソリュー ションをより簡素化するためにフリアーシステムズのサーモグラフィカメラを活用しています。

マシンビジョンシステムをセットアップして異なるすべての部品をスムーズに動作させることは、大変な作業です。 ハードウェアをソフトウェアを統合し、さらに複数のカメラを連携させる必要があります。 多くの業界に向けたリアルタイム監視ソリューションを専門とするEigen Innovations社は、この統合プロセスを格段に簡素化するスマートなハードウェアモジュールを開発しました。 そしてEigen Innovations社がこのモジュールを顧客の現場に配備するとき、カメラをフリアーシ ステムズ製品と指定しています。

Eigen Innovations社は、現場からリアルタイムで得たデータを高度に分析して、作業工程を自動的に向上させることができるソリューションによって、工場のスマート化を図っています。 これにより営業コストを削減しながら、工場の生産性を高め、一定品質が保証できます。 Eigen InnovationsのCTO(最高技術責任者)であり、共同創業者であるScott Everett氏は、 2012年に、大学のスピンオフ企業として同社を設立しました。

「当社は、さまざまなセンサーが使用される射出成形などの主要マーケットにおいて、製造システム用のソフトウェア管理ソリューションを構築するところから始めました。 機械から排出される部品の温度プロファイルをチェックすることは、品質検査において重要です。 品質検査を行うには製品の温度が下がるまで待たなければなりません。 しかし、非接触式センサーであるサーモグラフィカメラを使えば、もう待つ必要はあ りません。 リアルタイムで品質をモニタリングできるのです。 私たちはある展示会でフリアーシステムズの製品を初めて見つけましたが、サーモグラフィカメラはカメラの域を超えている、つまり工程の状況をリアルタイムでフィードバックす るインテリジェントなセンサーだということがすぐに分か りました。」

統合コストパフォーマンスに優れたシステム

固定設置式の自動化用途に向けて監視・警告システムを構築するのは、大変で高額なコストがかかります。 それぞれの用途は異なるため、多くの場合、センサー、通信、コンピューターハードウェアに加えて、ソフトウェアのカスタマイズも必要になります。 Eigen Innovations社のスマートモジュール(ESM)を使えば、費用のかかるこのステップを省略することができます。

「当社のお客様にコストパフォーマンスに優れたモニタリングシステムを提供するには、カメラ、ハードウェア、ソフトウェアの統合をずっと簡単にする方法を見つけなければならないことは明白でした。 そこで、当社はEigen Smart Moduleを開発したのです」とScott Everett氏は語ります。 「さらに、フリアーシステムズのカメラを使用することで仕事がさらにやりやすくなりました。 当社が提供するような産業用ソリューションの営業は非常に長い時間がかかるものですが、お客様に赤外線画像を見せて生産プロセスについて説明すれば、事はスムーズに進んでいくのです。」


Eigen Smart Module

Eigen Smart Moduleは、固定設置式の自動化用途に向けて監視・警告機能を備えた、堅牢なGigE Visionサーモグラフィカメラモジュールです。 このモジュールによって温度閾値の設定が簡単になり、PLC通信が可能になります。 このスマートモジュールは、監視・警告用途向けの固定式サーモグラフィカメラをすぐに配備することができるように設計されているので、お客様自身により統合作業は必要ありません。 このモジュールは、GigE Visionサーモグラフィカメラと通信し、指定された関心領域の温度に基づき計算します。

Eigen Smart Moduleは自己学習システムでもあります。 このモジュールはスタンドアローンのソリューションとして使用することもできますが、大きなアーキテクチャの一部として、より複雑な処理を行う場合は、サーモグラフィカメラからトレーニングデータを収集してクラウド上のデータを学習し、それをモジュールに戻します。 実質的に、このソフトウェアは自動で書き込みを行うのです。
このモジュールは、部品製造や紙パルプ、食品加工、防火、コンディションモニタリングなど、さまざまな自動化用途に使用できます。 そしてもちろん、Eigen Innovationsは常に新たな用途に目を光らせています。

フリアーシステムズを採用した構築

Eigen Innovationsのスマートモジュールを初公開した際には、完全にGigE Visionの規格とフリアーシステムズのAシリーズカメラに適合させていました。

Scott Everett氏は次のように語ります。「フリアーシステムズが蓄積してきた専門知識を理解するために、多くのリサーチを行う必要はありません。 同社の製品ラインと沿革を見れば、フリアーシステムズのカメラを選択するのは当然でした。 それ以外にも、当社はフリアーシステムズと素晴らしい関係を築いており、同社によってオートメーション市場へのドアが開かれました。 つまり、まさしく両社にとって有益な関係なのです。」

「サーモグラフィカメラの素晴らしい点は、熱電対が示すような1箇所の温度だけでなく、物体の温度分布全体を確認できることです。 それによって大量のデータがもたらされ、圧力や速度、湿度のデータといったその他のセンサー情報を補完できます。 当社のモジュールは、それらすべてのセンサーからの情報を組み合わせて、情報の意味を理解できるようにするのです。」

事例: リアウィンドウの熱線、堆積物の監視

Eigen Innovationsは、自動車業界の顧客に対してスマートモジュールを展開することに成功しています。 具体的には、リアウィンドウの熱線に関する問題を確認するために、同社のモジュールとフリアーシステムズのカメラを自動車の組立ラインに設置しています。 組立ラインでは熱線をオンにして、FLIR Aシリーズのサーモグラフィカメラでヒーターバンドが正しく機能しているかを確認します。

「自動化装置のセットアップでは通常、制御する必要のある部品は定位置に置かれます。 しかしこのケースでは、自動車が視界に入ってくるまで待たなくてはなりません。 そのため、当社のモジュールに組み込まれたアルゴリズムは最初に自動車の位置を特定する必要があるのです。」 
もう1つの事例は、硫黄堆積物の野外監視です。 硫黄の自己燃焼を防ぐため、フリアーシステムズのカメラを使用して、発火が差し迫っていることを示す過熱箇所を探します。 Eigen Innovationsのスマートモジュールは特に、検出性能を向上させて、鳥が飛んだ場合に熱が確認されるといった「誤検出」の数を減らすために有効です。 Eigen Smart Moduleはデータを学習し、カメラが鳥やトラックを撮影しているのか、それとも実際の炎なのかを確認します。

FLIR Aシリーズ: 強力かつ高い費用効果

複数のスマートモジュールをすでに設置した結果、Scott Everett氏はフリアーシステムズ、具体的にはFLIR Aシリーズのカメラを選択したことについて、とても満足しています。 「当社では特に、FLIR A65とその高解像度の美しい画像を気に入っています。 それほど強力なものをそれほど小型に構築できることが素晴らしいです。」

「例えば、FLIR A35とFLIR A65の現在の価格水準では、3台から4台のカメラを設備に簡単に設置できます。 それは費用効果の高いソリューションですが、FLIR Aシリーズのカメラを使えば従来のラインスキャナーを置き換えることができます。 その違いは、フリアーシステムズのカメラは1つのラインをスキャンできるだけでなく、全体の画像を表示できることなのです。」     
 

AシリーズのカメラはGigE Visionの規格に対応しているため、長距離でも低価格の標準ケーブルを用いて高速な画像転送が可能です。 GigE Visionにより、異なるメーカーのハードウェアとソフトウェアをGigE接続でシームレスに統合できます。

また、Aシリーズは非常に堅牢な設計のため、過酷な環境下での監視用途に使用することも可能です。

モノのインターネットへの対応

「当社の業種では、複雑な機械がネットワーク化されたセンサーやソフトウェアで接続される産業用のインターネット、つまりモノのインターネットについてよく話題になっています」と、Scott Everett氏は語ります。 「もちろん、それらすべてのセンサーデータの可能性を最大限に利用したい場合は、そもそも質的データを提供する質的なセンサーを使用する必要があります。 私はその点において、フリアーシステムズとEigen Innovationsが非常に刺激的で見込みのある将来に直面していると信じています。」