フリアーシステムズの赤外線カメラは、炎の後ろにあるものを明らかにします

炉とボイラーは、様々な産業分野の生産工程で重要な役割を果たしています。 しかし、炉やボイラー機器には、多数のメカニズムがあるため故障しがちです。 例えば、管内側に付着したコークによる管の閉塞、管外壁に堆積したスラグ、クリンカーによる損傷、加熱不足や過熱、バーナーの配置ミスによる管への火炎衝突、および引火性製品の漏れなどがあげられます。

このような故障により、品質に問題を生じるだけでなく、生産工程全体を停止させる可能性もあります。 フリアーシステムズの赤外線カメラは、たいていの炉やボイラー機器の問題点を稼働中に早期検出することができますので、故障を防止することができます。 このことにより、定めたとおりに遮断を実行し、部品を交換することができますので、メンテナンスコストや生産損失を低減させることができます。

フランス企業のPetroval社は、産業設備の技術点検に対する赤外線カメラの潜在能力に気がついた先駆者の1人です。 「赤外線カメラを導入する前は、稼働中に故障を発見する完全な方法はありませんでした」と、Petroval社のプロジェクトリーダーであるJean-François Tournieux氏は説明しています。 「フリアーシステムズの赤外線カメラは、故障を発見する優れた非破壊的方法です。稼働中であっても、安全に稼働するためのスピードを維持した状態で、正確に判定できます。」

Petroval社は、TOTAL社とEurecat社を親会社にもつ、フランスのノルマンディーを拠点とする企業で、1990年に設立されました。 Le Havreの本社に加え、Petroval社は2003年以来、テキサス州ヒューストンにもオフィスを構えており、2011年にはシンガポールにオフィスをオープンしました。 Petroval社は、世界中の50ヵ国超でサービスを提供しており、業務の80%超は実にフランス国外で行われています。

冷却型および非冷却型

現在、Petroval社はフリアーシステムズの赤外線カメラを3台使用しています。1台は冷却型検出器で、2台は非冷却型検出器です。 冷却型赤外線カメラは、熱シールドと炎フィルターを備えたFLIR Agema 550です。 このカメラは、主に炉内部の点検に使用されます。 2台の非冷却型赤外線カメラのうち、1台はFLIR ThermaCAM P50Fで、炎フィルターを備えています。もう1台はFLIR P640で、主に外からの断熱材の点検に使用されます。

Petroval社の技術者によると、3台のカメラはすべて目的に合った優れたツールであるとのことです。 「FLIR Agema 550は、非常に正確で高感度です。 FLIR ThermaCAM P50Fは、温度差が小さい場合はそれほど精度が高くないですが、非冷却型検出器を備えているため、メンテナンスが不要で、起動時間が短くて済みます。冷却型カメラは、使用できるようになるまでに、通常、5分程度の冷却システムの起動時間が必要です。 また、3台目のFLIR P640は、断熱材の点検と電気機器の不具合検出のどちらにとっても、完璧なツールです。」

FLIR P640:メンテナンス不要で、予知保全に最適

FLIR P640赤外線カメラは、640×480ピクセルの赤外線画像を生成する非冷却型マイクロボロメータ検出器を備えています。 FLIR P640は、予知保全に最適なレーザーポインター、ピクチャー・イン・ピクチャーおよび可視画像と赤外線画像を合成するFLIR Thermal Fusion等、非常に便利な機能を内蔵しています。 「FLIR P640赤外線カメラは、非常に動作が速く、使いやすいです。 また、50~100mの距離からでも、断熱材の不具合を示す小さなホットスポットを検出できるほど、優れたツールです。」

FLIR GF309:最新型の赤外線カメラ

FLIR Agema 550およびFLIR ThermaCAM P50Fはどちらも「旧式」モデルで、現在はフリアーシステムズでは販売していません。 現在は、FLIR GF309が、炉点検用に使用されている最高水準の技術を備えたカメラです。 この新機種は、高温炉の炎越し検査だけでなく、一般的な機械部品や電気機器などの点検にも使用可能です。 以上の機能により、これらのカメラは、特に化学工業、石油化学工業および公益事業において、あらゆるタイプの炉、ヒーターやボイラーを監視するための理想的なツールです。

FLIR Agema 550は、冷却プラチナシリコン(PtSi)焦点面アレイ(FPA)検出器を備えています。 プラチナシリコン検出器は、新しいFLIR GF309赤外線カメラの中心部を成すアンチモン化インジウム(InSb)検出器と比較すると精度が低いため、検出器の材料として使用されなくなりました。 PtSiや非冷却型のBBマイクロボロメーター検出素子より、安定性や感度に優れたInSb素子を採用することで、高温炉の炎越し検査と一般機器の検査のどちらにも利用できる赤外線カメラが実現したのです。

FLIR GF309赤外線カメラに内蔵されたInSb検出器により、解像度320×240ピクセルの画像が生成されます。 検出器とフィルターはどちらも、定量的感度を改善するために、小型のスターリングサイクル冷却器により極低温度近くまで冷却されます。 300℃超の温度に耐える設計で、最高1500℃までの温度測定が可能であり、炎や焼却ガス、灰が充満した炉およびボイラーの内部部品の撮影も可能です。 カメラはリアルタイムのビデオ画像を生成しますが、個々のビデオフレームは静止画像としてキャプチャすることができます。 画像は、高解像度ビューファインダー越しでも4.3インチの800×480ピクセルカラーLCDディスプレイでも見ることができます。 炎を透過して見るための特注のGF309は、カメラおよびカメラ操作者を反射熱から遠ざけるようデザインされた、取り外し可能な熱シールドを備えており、保護を強化しています。

炎フィルター

FLIR GF309赤外線カメラは、炎フィルターと呼ばれる、特定帯域の熱放射のみが検出器を通過できるようにする光学フィルターを備えています。 炎が放射する赤外線は、いくつかの波長範囲で非常に多くなる一方で、帯域によっては放射量がほぼゼロになります。 炎フィルターは、炎特有の波長の熱放射のみを通過させる光学フィルターです。 FLIR GF309の設計に取り入れられている炎フィルターは、スペクトル感度が3.8μm~4.05μmの範囲に設定されています。

特定帯域以外の赤外線はすべてフィルターで除去されるので、赤外線カメラは炎を透過して、非常に熱い火炎の中でも無条件で温度測定することが可能です。 このことから、炎フィルター内蔵の赤外線カメラは炉の点検に最適です。

ダウンタイムの最小化

Tournieux氏によると、フリアーシステムズの赤外線カメラは、炉やボイラー設備の予知保全に最適なツールです。 「赤外線カメラを使うと、事前に脆弱な箇所も把握することができます。 例えば、配管に欠陥があることが分かれば、交換部品を事前に購入しておき、ダウンタイムを最小限に抑えることができます」

赤外線カメラにより、不具合を迅速に発見する

Tournieux氏は、赤外線カメラを使って検出できる炉の不具合はたくさんある、と説明しています。 「耐火材の損傷や炎の形状の異常はもちろんのこと、配管に堆積した粉塵なども発見できます。粉塵が堆積すると、熱伝達を妨げ、製品の温度低下を招きます。 耐火レンガが剥がれ落ち、バーナーや加熱管に損傷を引き起こす可能性があります。 さらに、点火していないバーナーや、管上の火炎衝突を起こしているバーナーを確認することもできます。 また、私たちは酸化の発生も探しています。 酸化は悪い兆候です。酸化箇所は次第に剥がれ落ち、脆弱な箇所を残します。 フリアーシステムズの赤外線カメラを使った温度測定により、全体のプロセスが適切に稼働していることを確認できます。

「温度測定により、管内のコークの状態も明らかになります。コークはたいていは、異常温度によって発生します。また、管の詰まりや閉塞の箇所も確認できます」と、Tournieux氏は続けます。 「場合によっては、過焼成により温度が管の金属の規格温度を超え、閉塞した管内の圧力と相まって、破裂や漏れを引き起こす可能性もあります。 このような状態は、金属表面の実際の温度と共にカメラのディスプレイ上に映し出されます。

フリアーシステムズの赤外線カメラのさらなる機能

Petroval社の技術者によると、熱電対などの温度計測機器では、炉内の実際の状態についてはほとんど情報が得られないと言います。 「覗き窓から内部の部分的な様子は見えますが、機器の稼働中は、炎、燃焼ガス、灰のため、加熱管やバーナーの詰まりなどを見ることはできません。 熱電対などの温度計測機器は、問題の発見に役立つこともありますが、1ヵ所しか測定できません。 フリアーシステムズの赤外線カメラにより、1ヵ所の温度を測定するだけでなく、さらに多くのことができます。 320×240ピクセルまたは640×480ピクセルの赤外線画像において、各ピクセルから温度を読み取ることができます。

 

「フリアーシステムズのReporterソフトウェアを使用し、微細な温度情報を検出するために、記録された熱データを分析することができます。」と、Tournieux氏は続けます。

不正確な熱電対

Tournieux氏によると、炉およびボイラー点検の最も重要な目的の1つは、熱電対の温度測定値を検証することです。 「機器の表面に埋め込んだ熱電対やその溶接部は経年劣化するため、測定データは不正確になります。 多くの場合、精製所は非常に高い製造能力で稼働することができますが、熱電対の測定値が不正確なため、製造は安全マージン内に抑えられています。 フリアーシステムズの赤外線カメラを使用すれば、熱電対による温度測定値が正確かどうかを判断できます。 温度測定値を検証してみるとたいてい、精製所の製造量を安全に増やすことができます。

「フリアーシステムズの赤外線カメラを購入する前は、熱電対による温度測定値を検証する方法がありませんでした」と、Tournieux氏は続けます。 「私たちは、製造量を増やすことが安全かどうかわかりませんでした。 今や、私たちは製造量を増やすことが安全かどうかを、非常に正確に判断することができます。 例えば、私たちが訪れた精製所の多くは、1日あたり30,000トンを製造していますが、私たちの点検により、おそらく32,000トンを製造しても安全であることがわかるでしょう。」

長年の経験

しかし、炉点検を実施することがマウスでポイントしてクリックするだけのことだと考えている人は、がっかりするでしょう、とTournieux氏は述べました。 「適切な赤外線カメラを使用することは大切なことかもしれませんが、それ以上にもっと大切なことがあります。 Petroval社のスタッフは赤外線検査とそのデータ解析だけでなく、炉やボイラーの検査でも長年の経験を積んでいます」

「例をあげると、私たちは、赤外線カメラの精度を確認するために、独自の特別なプローブを使用しています。 そのプローブを炉に差し込み、確認したい管の隣に置きます。 プローブ内には正確な熱電対が内蔵されているので、その場所の正確な温度がわかります。 その後、赤外線カメラの測定値がプローブの測定値に合うように放射率を補正します。 放射率は素材によって違うため、炉に使用されている全種類の管に合わせてプローブを用意しています」

フリアーシステムズの赤外線カメラ:炉点検に最適な方法

「しかし、もし専門性と適切な機器をもっているならば、フリアーシステムズの赤外線カメラを使用することは、炉点検の最適な方法です。」と、Tournieux氏は結論付けます。 「フリアーシステムズの赤外線カメラは、非接触型、非破壊的な、優れた方法です。定量的情報と定性的情報をどちらも収集することができ、その情報によってダウンタイムを防止、または最小限にとどめることが可能です。

画像出典:Petroval社フォトライブラリ

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