サーモグラフィカメラを用いた天井冷暖房システムの検査

多くの企業が、職場の柔軟性と効率向上に取り組んでいます。 なかでも、室内環境の質は重要です。 こうしたニーズに答えるため、迅速な温度制御ができる天井冷暖房システムが開発されています。 天井冷暖房システムは、デザイン、サイズ、機能などの選択も自由自在であり、極めて多彩な用途で利用できる点が特長です。

天井冷暖房システムは、室内温度の調節が極めて重要となる病院内の手術室や集中治療室に最適です。 最近、天井冷暖房と配管の設計・設置を専門とするInteco社は、オランダ、ウーデンのBernhoven病院の新たに建設された施設に、面積約1200m2の天井冷暖房システムを設置しました。 Inteco社では、天井冷暖房システムが正確かつ適切に作動することを確認するため、赤外線検査や保守に関する提言を行っているThermografisch &Adviesbureau Uden社に検査を依頼しました。

天井冷暖房システム

Bernhoven病院に設置された天井冷暖房システムは、Inteco社が開発したMeandRoシステムです。 MeandRoシステムは、冷温水の循環するMeandRo管と穴のあいたシート状のスチールパネルがサンドイッチ構造になった輻射式の天井冷暖房システムです。 スチールパネル全体にMeandRoと呼ばれる8×0.5mm の銅製の管と熱導体が蛇行形状でハンダ付けされており、あらゆる設計にも対応します。 MeandRo管はクイックリンクと呼ばれる接合部で互いに連結しており、ここは設置時の配管工事不良が起こりやすい場所です。 しかし、納品後の専門家の検査により、こうした不良は簡単かつ迅速に修正できます。

サーモグラフィカメラによる点検

天井冷暖房の配管不良がある場合、最適な室内温度を確保することはできません。 また、設置時に供給する冷温水量が十分でない場合も、冷暖房の機能不全の原因となります。 使用開始後のシステムの問題を防止するために、それらの不具合を素早く確認できます。

Thermografisch & Adviesbureau Uden社のBas Coolen氏は、この検査のためにFLIR T440bxサーモグラフィカメラを使用しました。 「赤外線画像には、システムが適切に設置されているかが明確に表示されます。」と、Coolen氏は説明します。 「サーモグラフィカメラで天井の天井の温度差を簡単に視覚化できます。さらに、FLIRT440bxに搭載された新機能スーパーファインコントラスト(MSX)のおかげで、撮影場所と検査している管の位置を正確に把握できます。」

スーパーファインコントラスト(MSX)

この機能によって赤外線画像の品質が向上するため、極めて詳細な赤外線画像がもたらされます。 この新機能のおかげで、解析精度が向上し、小さな異常も簡単に検出できるため、迅速に解析結果を出すことができます。

検査の迅速化

Thermografisch & Adviesbureau Uden社は、16年間にわたるサーマルイメージング技術による検査実績があり、サーモグラフィカメラの進歩を間近で体験してきました。 「フリアーシステムズのサーモグラフィを数年間使用していますが、革新的な機能を備えたこの最新モデルに本当に満足しています」と、同社の商務部長Ralf Grispen氏は語ります。 「例えば、FLIR T440bxにはスマートフォンやタブレットPCとの互換性があるため、点検中に生成された赤外線画像をクライアントや設置業者とすぐに確認したり共有したりするのが非常に簡単です。 また、FLIR T440bxは320x240ピクセルの画質を備えているため、温度差を明確に確認できるのです。」

サーモグラフィカメラとスポットパイロメーターの比較

「天井冷暖房システムの設置業者が自ら点検を行っているのをよく目にします。その場合は大抵、スポットパイロメーターが使用されています。」と、Coolen氏は続けます。 「スポットパイロメーターを使用することに特別悪い点はないのですが、スポットパイロメーターでは1箇所しか測定できないため、時間のかかる点検方法です。 さらに、測定値を視覚的に記録することはできません。 それとは対象的に、サーモグラフィカメラを使用すれば、かなりの面積の天井冷暖房システムを極めて短時間で検査できます。 そして、画像をみれば不具合の有無は一目瞭然であるため、議論の余地もありません。」

FLIR T440bxサーモグラフィカメラ

極めて人間工学的なFLIR T440bxサーモグラフィカメラは、お手頃な価格で高性能を求めるユーザーのために開発されました。 FLIR T400bxシリーズでは、人間工学を追求した使いやすいデザインと高解像度320×240ピクセルが特長です。 FLIR T400bxシリーズにはチルト可能なレンズユニットが装備されているため、快適な作業姿勢であらゆる希望角度から撮影できます。 FLIR T440bxには、特に建築業での使用を想定した内蔵コンパスが搭載されています。 そのため、検査担当者は撮影している方向と壁が向いている方向を記録できます。 こうした機能は建築物の検査において重要です。 カメラの撮影方向は、それぞれの画像に自動で追加されます。

赤外線画像と可視画像の両方において、興味深い物体にはFLIR T440bxのタッチスクリーンに直接印を書き込むことができます。 FLIR T440bxを使用すれば、点検の「直接レポート」を印やコメントを含めて作成できます。 プログラム可能なボタンにより、お気に入りの機能にアクセスできます。

「サーモグラフィ技術はすでに、多種多様な方面でその威力を発揮しています」と、Coolen氏は述べています。 「天井冷暖房システムの点検にサーモグラフィカメラを使用することで、不具合を迅速かつ確実に発見し、速やかに修理することができます。 そのおかげで、営業開始後に病院業務の遅延や停止を引き起こすような問題や、予期せぬ出費の原因となるような問題は起きていません。」

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