バイエルノイル製油施設(ドイツ)では、フリアーシステムズの炉内検査用火炎透過赤外線カメラを使用して改質器の監視を行っています。
高品質な石油製品を生産し続けるには、精油所の炉/ヒーター/ボイラーにおいて安定的に高温を維持し、効率的な燃焼を実践することが不可欠です。 こうした設備の高効率な稼働を維持するため、フリアーシステムズは炉内検査用火炎透過赤外線カメラを開発しました。
バイエルノイル製油施設の設備は、24時間365日体制、稼働率100%で操業し続け、現在の高い石油製品の需要に応えています。 そのため、ここでは炉や熱供給の状況監視/予防保守が非常に重要な要素となります。
超高品質のガソリンや軽質燃料は、改質プロセスを経た上で最終的な製品化に至ります。精製オイルは、脱硫処理された後、改質器に投入されて化学プロセスが施されます。この化学プロセスにおいて、水素を炭化水素から除去するか、もしくは炭化水素分子の組成をそれぞれ再配列することにより、低オクタン価であったガソリンが高オクタン価の生成物へと転化します。 改質器は、24時間365日体制による最高温度510℃の熱供給を必要としています。この熱は炉から提供され、熱配管システムにより運搬されます。
高温に達する熱成分については、高精度に測定を行える反面、極めて局所的な範囲の測定しか行えません。しかし、赤外線を用いて広範囲の表面の検査を行えば、重要なパラメータを素早く認識することができ、クリーンかつ安全性の高い生産が実現します。例えば、コーキング/汚れ/酸化物の層により、プロセス温度が低下していないか確認することができます。 また、内部全体の動作温度や 表壁への影響について確認することもできます。
バイエルノイル製油施設には、フリアーシステムズの赤外線カメラが備えられており、工業炉/ヒーター/ボイラーの検査が行われています。 この赤外線カメラは、火炎を透過して検査する性能を備えています。 本赤外線カメラは、最高1,500℃まで測定可能な設定となっており、高温表面全体の温度を測定でき、また臨界環境下や危険性の高い環境においても迅速に検査を実施することができます。
赤外線カメラのユーザーであるHolger Springer氏(バイエルノイル製油施設におけるメンテナンス部門の点検技術者)は、次のように述べています。「改質器の点検作業は、非常に円滑に実施できます。
明確な温度測定のため、炉のくぼみ効果を活用しています。」
Springer氏は、バイエルノイルの3つの製油施設において26種類の炉を定期的に検査しています。 フリアーシステムズの炉内検査用火炎透過赤外線カメラに取り付けられた保護シールドは、カメラ本体やユーザーの身体から発する熱源を排除するだけでなく、炉の点検窓全体を覆う役割も備えています。
また炉内検査用火炎透過赤外線カメラを使用して、炉の外壁の耐火物の検査も行えます。 内蔵のデジタルカメラにより炉内の火炎パターンを確認できるため、燃焼プロセスの品質をチェックし、また管壁全域で炎の衝突の発生を抑止することもできます。
生産と安全性への貢献
生産の評価/最適化を行うため、製油所内の各事業体から測定結果の提供が求められます。そのため、Springer氏は調査結果を分析した上、プラントにおけるプロセス安全/生産/保守の各専門担当者に情報を共有しています。
炉内検査用火炎透過赤外線カメラで収集された熱画像の情報を元に、以下のタスクを行えます。
- 温度センサーの交換時期の判定
- 配管温度が許容範囲内に維持されているか否かの表示
- 情報の提供(生産性の向上が見込める場合)
- 調整や清掃を行うべきかの判定(バーナー状態の査定による)
一般に配管温度の閾値により生産能力が左右される産業環境下では、赤外線カメラの使用によって更なる需要が生み出されます。Holger Springer氏は、現場におけるその他の設備や配管についても頻繁に検査を行っています。
Holger Springer氏は、今後2年以内に赤外線カメラの償却を予定しており、次のように述べています。「炉内検査用火炎透過赤外線カメラにより、炉や配管設備の熱負荷に関する重要な情報が提供されます。 こうして当社プラントの弱点を見出すことにより、炉の安全運転を促進することができます。」