フリアーシステムズの赤外線サーマルカメラにより、科学者は作物キャノピーの熱分布と変動をキャプチャして記録することができます。

640 x 480の検出器を備えたFLIR SC645 IRカメラは、作物科学のコミュニティにおいて、高解像度・高スループットでのキャノピー温度検出を空中から実現するものです。

Australian Plant Phenomics Facilityのキャンベラ拠点であるCSIRO Agriculture & Food(キャンベラ)は、農場の作物キャノピー温度を素早く高分解能で測定できる空中サーマルソリューションを提供しています。 研究により、キャノピー温度は気孔応答を通じて作物のストレスを測定する優れた方法であることがわかり、赤外線イメージングは作物科学のコミュニティでは人気の技術になっています。

世界をリードするAPPFの熱を利用した研究

CSIRO Agriculture and FoodのシニアリサーチサイエンティストでAustralian Plant Phenomics Facility(APPF)キャンベラ拠点のディレクターでもあるXavier Sirault博士によれば、世界中の多くの研究センターはすでに、広大な耕作面積と、さまざまな園芸作物(トウモロコシ、米、ブドウなど)を対象とした赤外線の技術を持っており、また実際に利用もしているとのことです。 しかし、今日までこれらのどの機関も、実際にこの技術を大規模に運用するまでには至っていません。

IT技術が必須

空中サーマル技術は、気孔挙動の違いに基づいて植物の表現型を決定する完成した技術となっています。 Sirault博士は次のように説明しています。「赤外線技術は、APPFのCSIRO拠点で行われた研究で広く使用されています。 赤外線技術は、作物における気孔応答の研究、および気孔挙動の違いに基づいて植物の表現型を決定する研究にすでに利用されています。例えば、塩分または干ばつへの耐性および/または水利用効率形質の遺伝学的研究などが含まれます。」同氏は続けます。「この技術は、National Collaborative Research Infrastructureが現在提供しているサービスの中で日常的に利用されています。そのサービスとは毎年、育種集団の数万種類の遺伝子型をキャノピー温度の変動(蒸散率の代用)をもとにスクリーニングするものです。」キャノピー温度は、植物が環境条件に応じた気孔応答によって水の使用をどの程度うまく管理しているかを示す強力な指標となります。 HeliPod™サーマルイメージングシステムは、その高解像度と高い処理能力により植物ごとに異なる微少な温度の違いを検出できるので、大規模な実験のための強力な表現型決定ツールとなります。

空中からの画像

気候変動への対応と、増大する一方の食糧の世界的需要に応える上で、農業研究は不可欠なものです。 「現在、この技術を使用して年間50万件以上のプロットをスクリーニングしており、研究コミュニティおよび業界からの需要は着実に増加しています。 今どきこの潜在能力を利用せずに実験を行うなど考えられない、と思う業界パートナーもいるはずです。」とSirault博士。

「長期的には、植物の蒸散速度を制御する遺伝子座が解明され、気候変動に対してより弾力性のある新しい作物品種の開発が可能になるでしょう。」

画像取得のためのプラットフォームは、R44ヘリコプターに搭載可能な完全STC認定の専用コンテナ(ヘリポッド)です。 ポッドには、高解像度のFLIR SC645サーマルカメラと30MP RGB カメラで構成された先進のイメージング機器を積み込み、IMUとGPSも一体化します。 イメージングシステムの制御は、機内に装備した産業用コンピュータにより行い、操縦室の中からタッチスクリーンモニターを介して操作します。 画像処理サービスにはChopItツールが用意されています。これは処理能力の高いAPPF独自開発の処理パイプラインで、正規化と校正処理を施してキャノピーの温度データをプロット単位で提供します。

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