よくあるご質問:サーモグラフィカメラによる体表面温度スクリーニングについて

EST graphic final web-1200x628-US-03[2].jpg

フリアーシステムズのサーモグラフィは体表面スクリーニングに使用されています。

体表面スクリーニングに適したサーモグラフィとは何か。正しい準備と検査方法を理解し、適切な性能(熱画像解像度・測定精度)も持つモデルを選ぶことが重要です。スクリーニングに関するFAQを参照下さい。

 

Q:フリアーシステムズの製品は、新型コロナウイルス(COVID-19)のようなウイルスの検出ができますか?

A:サーモグラフィカメラは物体の表面温度を計測する機器であり、感染症の検出や診断はできません。フリアーシステムズは、学校や、空港、病院のような公共空間や、製造業や運送業等において体表面温度スクリーニングに採用された実績があります。体表面温度が高いことが確認された人に対しては、口腔体温計等を用いて、医療専門家による検査を実施します。

 

Q:サーモグラフィ技術とはどのような仕組みですか?

A:サーモグラフィカメラは、物体や人間から自然に発生する熱放射から、表面温度を計測するものです。

 

Q:体表面温度のスクリーニングはどのように行えばよいですか?

A:フリアーシステムズは最適な測定性能を確保するために以下を推奨します。

  • スクリーニングは一人ずつ実施します。
  • 検査対象者が設定しきい値よりも高温であることを検出した場合、検査対象者に対し、体温計等でさらなる検査を受けるように要請します。

 

Q:フリアーシステムズは、体表面温度スクリーニング用としてどの機種を推奨しますか?

A:体表面温度差の検出用として、以下のフリアーシステムズのサーモグラフィカメラをお勧めします。

ハンドヘルド型サーモグラフィカメラ

スクリーニング機能搭載モデル:FLIR E53、E75、T530、T540

簡易計測モデル:E8XT

固定型サーモグラフィカメラ

FLIR A320 Tempscreen、A300、A310、A315、A325、A615、A655、A400/A700(高度なスマートセンサー構成)

 

Q:スクリーニングモードについて教えてください。

A:スクリーニングモードとは、サンプリングによって得られた平均温度値から設定するしきい値に基づいて判定する機能です。スクリーニングによって設定するしきい値は、環境によって、変更する必要のある場合に有効です。スクリーニングモードを起動すると、カメラの画面に測定ボックスと以下のようなスクリーニングデータが表示されます。

  • サンプルの平均温度
  • アラーム温度
  • 測定温度

スクリーニングモードを使用する場合、カメラオペレーターは検査場所で10人の体表面温度データを保存し、その環境に適した平均温度を設定します。その後、オペレーターが任意の差分を設定すると、しきい値温度が設定されます。通常、差分は1°C~3°C高く設定します。検査対象者は1人ずつスクリーニングを受け、その測定温度をしきい値温度と比較されます。

昼夜などの気温差や空調等の環境温度の変化などを考慮して、適したしきい値を設定するためには、サンプルの平均温度を更新します。これにより、サーモグラフィの持つカメラごとの精度のバラつきや不確かさを最小限に抑えることができます。

 

Q:スクリーニング時に適した測定距離は何メートルですか?

A:正確な温度値を取得するには、使用するカメラの画素数と設置距離を予め想定する必要があります。例えば、対象者に対して、遠い距離にカメラを配置したい場合は、望遠レンズが推奨されます。

スクリーニングを実施するには、検査対象者にフォーカス(ピント)が合った状態になるように、機器を調整することが重要です。正確な測定に必要な機器の調整には以下が挙げられます。

  • 赤外線カメラの焦点の調整
  • 適切な温度レンジの選択
  • 適切なカラーパレットの選択
  • 測定パラメーターの設定
  • 不均一性補正(NUC)の実施

 

Q:サーモグラフィカメラの精度はどれくらいですか?

A:フリアーシステムズのサーモグラフィカメラは、“温度精度”としては、黒体に対して30°C時温度測定値の±2°Cまたは2%と表記しています。

一方、スクリーニングモード搭載サーモグラフィカメラは、人の体表面温度検査に限定し、安定した室内環境でカメラを使用し、検査対象の集団に応じてサンプルデータを更新することで、37°Cで±0.5°Cの精度を実現できます。

※サーモグラフィカメラの精度にはフォーカス調整、撮影対象者までの距離、放射率、環境温度、温度の取得速度など、影響を及ぼす要因が多数あることにご注意ください。

*対象物の放射率は素材によって異なります。例えば、衣服や人間の肌は放射率が高く、金属の放射率は低くなります。

 

Q:体表面温度のスクリーニングに黒体を使用する必要はありますか?

A:カメラに黒体の温度を表示させるシステムは、計測信頼性が向上しますが、この方法にはメリットとデメリットがあります。

フリアーシステムズは、黒体の使用が不要な温度スクリーニングモード搭載サーモグラフィカメラを推奨します。ハンドヘルド型の製品は、その製品単体での使用が可能です。スクリーニングモードを使用することで、環境に応じたしきい値を設定することができ、より信頼性の高い測定を行うことができます。

その一方で、黒体の使用には課題が生じます。まず、黒体という追加のハードウェアを組み込むことによるコストと複雑性が挙げられます。実装、電源の供給、最終的には保守メンテナンスが複雑になります。

さらに、黒体を用いた場合、検査対象者と同じ位置に黒体を配置する必要があります。黒体が検査対象者よりも近すぎたり遠すぎたりする場合、フォーカスがずれ、正確な参照減温度として機能しなくなります。

フリアーシステムズでは、スクリーニングソリューションで黒体を使用する場合、ISO/TR 13154:2017に規定されている以下の要件に従うことを推奨します。

  • 検査対象者の両目の目頭の画像を1画面で表示できるように、対象者の顔に対して水平かつ垂直方向に直角にサーモグラフィのカメラを配置する。
  • 焦点距離、被写界深度、画像キャプチャが適切になるように、検査対象者と外部の参照温度源がカメラに対して適切な位置に設置する。スツールや床の目印など、対象者の適切な位置を確保する。車椅子の利用者に対する検討も必要。
  • 検査対象者の背景、およびサイドスクリーン(使用時)は、熱的に均一で、放射率が高く(赤外線無反射)、色が明るい(目視確認)ものであること。
  • 検査対象者およびサーモグラフィのディスプレイの視野が明瞭になるようにオペレーターを配置する。オペレーターは、対象者の位置の調整を指示する。また、必要に応じて二次スクリーニングエリアに検査対象者を誘導する。
  • オペレーターは、サーモグラフィのレインボースケールの色の識別能力を有すること。

 

Q:カメラの使用者は、画像とデータの解釈の仕方を理解するために認定/訓練を受ける必要がありますか?

A:フリアーシステムズでは、赤外線トレーニングセンターなどの認定サーモグラフィコースで、少なくともレベル1のサーモグラフィ認定をサーモグラフィカメラのオペレーターが取得することを推奨ます。この認定は、医学に関する訓練や認定ではありませんが、サーモグラフィの基本について理解できます。赤外線トレーニングセンターではさらに高度なトレーニングを提供しています。詳細については、www.infraredtraining.comでご確認いただけます。

 

Q:フリアーシステムズの製品を購入した会社、組織、空港の名前を教えてください。

A:お客様の名前を具体的に挙げることや、現在の販売状況についてコメントすることはできませんが、米国、中国、香港、台湾、シンガポール、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアといった複数の国々の通関手続地や人通りの多い場所で当社のサーモグラフィカメラが利用されています。

 

Q:フリアーシステムズは、体表温度の上昇のスクリーニング用にサーモグラフィカメラをいつから販売していますか?

A:フリアーシステムズでは、2003年のSARSの大流行の期間中に体表温度スクリーニング目的のサーモグラフィカメラの使用が増加しました。

 

その他のご質問、お問い合わせについては、右側フォームに必要事項を入力しお送りください。 

関連記事