フリアーシステムズのガス検知用赤外線(OGI)カメラをドローン(UAV)に搭載して、空中からガス漏れを検出

Al Hosn Shahプラント(所在地:アラブ首長国連邦、アブダビ)などの天然ガス処理プラントでは、生天然ガスから特定混入物質を除去し、精製処理を行っています。 こうした混入ガスは人体に曝露すると非常に危険であるため、ガスパイプラインや関連インフラの厳重な監視体制の下、ガス漏出を未然に防がなければなりません。 ドローン(UAV)にガス検知用赤外線カメラを搭載するという全く新たな試みは、広大なガス田地帯の監視用途に非常に効果的であることが実証されています。 

Shah sourガス田は、アラブ首長国連邦のアブダビの南西約180kmに位置しています。 新たなShahガス処理プラントは、1,000MMscfd(1日当たり百万標準立方フィート)の酸性ガスの処理能力があります。 Shahプラントは、3つの隣接する低平地エリア(Shah Fieldの東中央側)に位置しており、東西約6kmのエリアにも及びます。 危険性の高い高濃度な硫化水素(H2S)ガスなどの酸性ガスは、西部地域でのみ処理(スウィートニングプロセス)を行っています。

危険なガスの監視

現在Al Hosn Shahプラントでは、従業員の様々な安全策が講じられていますが、レッドゾーンに指定されている西部エリアには、メンテナンス技術者や作業者の健康・安全への重大なリスクがいまだに存在しています。

Inspectahire社(高い遠隔視覚検査技術を有する、業界随一の調査企業)のオペレーションディレクター、John Rennie氏は次のように述べています。「ガスの中には、有毒性、腐食性、可燃性、爆発性が極めて高いものも存在します。 当社はこれまでガス漏れの検出に、いわゆる嗅覚探知機を使用していました。しかし、膨大なパイプラインネットワーク全域を検査するには非効率な上、オペレータにとっては大きな危険も伴います。 こうした状況から、Al Hosn Gas社から当社へ依頼があり、広域エリアの効率的な漏出検査法が求められました。」

嗅覚探知機は手動測定装置であり、ガス漏れ箇所の付近で音声信号が鳴ります。 嗅覚探知機による検出法は比較的実施も簡単ですが、オペレータ自身が漏出源に接近する必要があるため、必然的にリスクを伴うことになります。 嗅覚探知機による手法では、点検者の肉眼で漏出を確認することができません。そのため、常に、漏出源を推測しながら探り出す必要があり、実際に特定できるまでに長い時間がかかります。 Inspectahire社は、フリアーシステムズの赤外線カメラの開発に長年関わってきた業績があるため、Al Hosn Gas社に最適なソリューションを熟知していました。

ドローンからの赤外線画像

Inspectahire社は、2014年10月に赤外線トレーニングセンター(ITC)で行われたセッションにおいて、ドローン製造者のSky Eye Innovations社(スウェーデン)と会議を行いました。 Sky Eye Innovations社は、過去数年間フリアーシステムズと協働し、フリアーシステムズのカメラ製品(TシリーズやGFシリーズなど)の専用UAVシステムを製造した実績があります。 Al Hosn Gas社のプロジェクトに関する話し合いの結果、両社は、ガス検知用赤外線カメラと空撮検査の各分野の専門知識を結集して開発を進めることに合意しました。 両社は、FLIR G300aカメラを使用した共同ソリューションを編み出したのです。

Daniel Sällstedt氏(Sky Eye Innovations社CEO)は、次のように述べています。「現在、様々な企業によって、フリアーシステムズ製のカメラコアとUAVシステムの統合プロジェクトが進められています。 しかし当社は、こうした流れと異なった斬新なアプローチを取っています。つまり、まずフリアーシステムズのカメラシステムを徹底的に研究した上で、カメラシステムの特性に適したUAVシステムを新たに設計しました。 また、顧客の大切なカメラが常に安全に飛行できるように、フォールトトレランス機能(余剰飛行制御など)の追加構築にも焦点を当てました。」

John Rennie氏は言います。「Al Hosn Gas社の統合管理チームも参加する中、フリアーシステムズのスウェーデンオフィス近くで、Sky Eye Innovations社のドローン製品とFLIR G300aガス検知用赤外線カメラのデモ運転を行いました。 テスト飛行は、極めて順調に進みました。Al Hosn Gas社のチームは、同社経営陣にこのソリューションの長所を詳細に説明するため、アブダビのプラントでも別途テスト飛行を行うことを決定しました。 そして、経営陣は本ソリューションの優れた能力をさらに確信することになります。 実験において、地上に置いたボンベからガスを漏出させたところ、FLIR G300aは空中からの正確な監視任務を達成しました。 この実験テストの成功を受けて、経営陣はレッドゾーンでもテスト飛行を実施する許可を出しました。 実際にガス漏れを発見したわけではありませんが、このテスト飛行も成功だったと言えます。」

冷却型検出器により、わずかな温度差も明瞭に可視化

フリアーシステムズのガス検知用赤外線カメラを使えば、肉眼では見えないガス漏れの可視化/確認が可能です。 ガス検知用赤外線カメラを使用すれば、離れた場所やアクセス困難な区画にある設備でも簡単にスキャンし続けることができます。

FLIR G300aガス検知用赤外線カメラには冷却型アンチモン化インジウム(InSb)検出器が搭載されており、320×240ピクセルの熱画像を生成する能力があります。 G300aはF値(レンズ速度の定量尺度)が低く、高感度であるため、ごく小規模な漏出も検出できます。 またこのカメラにはフリアーシステムズ独自の高感度モード(HSM)も備えられており、カメラの検出レベルが向上し、ごく小規模のガス漏れも検出することができます。 FLIR G300aは、イーサネット経由で安全な距離から簡単に制御でき、またTCP/IPネットワークにも容易に統合できます。

ドローン搭載に最適なガス検知用カメラ

DanielSällstedt氏は次にように述べています。「フリアーシステムズ、Inspectahire社、Sky Eye Innovations社の各専門知識の結集は非常に斬新です。 FLIR G300aは、Sky Eye Innovations社のOGI UAVシステムに理想的なカメラです。 G300aは、非常に軽くコンパクトな設計です。これほど軽量なガス検知用赤外線カメラは今までありませんでした。これはUAVの飛行に理想的です。 オペレータは、画面を見ながらジョイスティックを操作することで、遠く離れた地上からカメラを制御することが可能になりました。 フリアーシステムズのカメラは接続性にも優れ、他社製品とは一線を画しています。 赤外線画像における世界トップレベル、最高品質の画質が得られます。 特に、常に流動するガス煙の可視化には、高感度モードが非常に効果的です。」

「この技術は、ガス業界に大きなメリットをもたらすでしょう。 ガスプラントの敷地というものは、非常に広域に及びます。ドローンで検査を行えば、効率よく広範囲をスキャンできます。 ドローンなら、人間が直接接近できない場所や、アクセスの非常に困難な場所にも簡単に到達できます。 ガス処理プラントには、Al Hosn Shahプラントのレッドゾーンのような、危険エリアが存在します。 FLIR G300aのようなガス検知用赤外線カメラの使用により、こうした危険エリアでも安全にスキャンが行えます。」

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