フリアーシステムズのカメラで外部断熱システムの解析と診断をサポート

外部断熱システムは、欧州の建設市場でその重要度を増してきています。 建築物に対するエネルギー認証の要件とエネルギー効率の規制が厳しさを増すことで、建設会社はこのようなシステムの効率的な設置に一層注目しています。 残念ながら、新築または既存の建築物に対して、広範囲の外部断熱システムが最善の方法を用いることなく設置されています。 断熱材の設置に関する異常およびそれらの断熱製品の熱特性をより良く理解するために、イタリア断熱・防音協会(ANIT)を含む複数の企業が、フリアーシステムズのサーモグラフィカメラを使用した研究プロジェクトを共同実施しました。

断熱システムの異常を認識することと断熱システムの設置を目的とした研究が、ANITおよび次の2つのANITメンバー企業によって実施されました。 その企業とは、Caparol社とフリアーシステムズです。 この研究は、建築物に対する非破壊エネルギー効率試験に注力するエンジニアリングサービス企業、Tep srl社によってまとめられました。

 

試験片の作成

外部断熱システムの設置を特徴付ける熱的現象を研究するため、試験片を作成してその三辺を断熱パネル(グラファイト添加物を含むEPS)で覆いました。 試験片の上部では一般的な敷設ミスとなるように壁を覆い、下部はEPSのダボありとなしで適切に準備しました。

アクティブサーモグラフィの分析

ダミーの壁はソーラーサイクルの充電中と放電中に監視と解析が実施され、熱画像が定期的に記録および保存されました。 アクティブサーモグラフィとともに、太陽放射によって充電が行われ、試験片の表面に影響を与えます。 放電段階では、エネルギーを蓄積した構造が日陰に入った際にエネルギーを放出する様子が監視されます。 この試験において、ANITはFLIR T640サーモグラフィカメラを選択し、T640こそがこの作業に最適と実証されました。

さまざまな状況での熱伝達

サーモグラフィ分析によって浮き彫りとなった、さまざまなケースで起こっていることを正しく分析し、可能性のある敷設異常を把握するために、変化する条件下での断熱材表面における熱伝達の基礎を理解する必要があります。

変化する条件(変化する表面温度)における熱伝達では、熱抵抗や伝導率、各材料の厚さの情報だけでは、さまざまな層の熱挙動を把握するのに十分ではありません。 実際には、材料の密度と比熱も考慮する必要があるのです。 外部断熱に伴う構造の表面放射に関連して変化する状況下で材料を特徴付けるパラメーターは、熱浸透率と呼ばれます。

熱浸透率とは、材料が熱エネルギーを浸透させる能力の大きさです。太陽放射の影響を受ける外部断熱材の表面温度は、材料が表面レベルから下層まで熱を伝導する程度と、材料が熱を蓄積して温まる能力の組み合わせによって大きく影響されます。 この文脈において熱浸透率は、太陽放射によって材料内部が加熱される程度を表します。値が低ければ、その材料を加熱するのに必要なエネルギーの量が少ないことになります。

試験片は、異なる熱浸透率を持つ複数の材料、つまり接着剤(熱浸透率=906)、ダボに使用されたグラファイト添加物を含むEPS(熱浸透率=27)とPVC(熱浸透率=530)で構成されています。

試験片の分析

材料の特性を分析することで、太陽放射によるエネルギー充電とその後日陰に入ることによる放電の観点から、異なる挙動が示されます。

a) 太陽放射にさらされると、刺激によって表面が温められます。 PVCと接着剤はEPSに比べて熱浸透率が大きいため、最初はEPSよりも温度が低く、EPSの方が簡単に温まります。 ダボと接着剤の接合部が、最も温度の低い場所となります。
b) その後、試験片は日陰で冷却されます。 PVCと接着剤は熱容量が大きいため、より多くの熱エネルギーを蓄積し、最初はEPSよりも温度が高くなります。 EPS材料の方が早く冷却され、ダボと接着剤の接合部が最も温度の高い場所となります。

試験片の上部を示す温度グラフは、熱伝導率が低く熱容量が限られた断熱材と、熱伝導率が高く熱容量の大きな接着剤とPVCダボが使用されていることを示しています。 太陽放射の結果としてエネルギーが保存されるとすると、保存されたエネルギーの量が少ない(熱容量が小さい)ために、断熱材の方が早く冷却されます。

熱分析によって、2つの異なる種類の表面層があることが分かります。熱伝導率が低く熱容量の限られた断熱材の層と、熱伝導率が高く熱容量の大きな接着剤とPVCダボの層です。 サーモグラフィ分析を実施する際に、サーモグラファーは表面の異常として何が確認され得るかを把握している必要があります。外部断熱システムおよび、適切な環境条件下においてどのような状態が欠陥とみなされるのかを理解する必要があるのです。

FLIR T640bxカメラ

ANITは、さまざまな技術的要件のためにFLIR T640bxを選択しました。 試験片の研究には、0.5 ℃近くの温度差を調べることと、異なるタイムラプスで表面の温度変化を自動的に記録して制御する可能性が求められます。 さらにカメラは、表面の熱挙動のアクティブな研究の証拠となる、高品質のビデオ映像を生成可能な機能を備えていなければなりません。

FLIR T640bxカメラは大成功を収めました。 T640bxは高性能なサーモグラフィカメラで、内蔵型の5MP可視カメラや交換可能なレンズオプション、オートフォーカス、大型の4.3インチタッチスクリーンLCDなどを備えています。 このカメラは、優れた人間工学と卓越した画像品質を組み合わせることで、画像の究極の鮮明度と精度に加えて広範な通信機能も提供します。

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