製鉄所の取鍋の耐熱性を監視

製鉄所の取鍋は寿命が限られています。 耐火炉材は摩耗を起こしたり、衝撃を受けて破損したりするため、取鍋の外部は高温にさらされることがあります。 手遅れにならないうちに発見しないと、取鍋が崩壊して溶融金属が流出し、作業員の命が危険にさらされ、設備が破壊される可能性もあります。 フリアーシステムズのサーモグラフィカメラシステムは、取鍋をリアルタイムで監視して事故が発生する前に警告することで、怪我や設備の損傷、生産停止時間などによる数十万ドルもの損失を防ぎます。

取鍋の安全性

製鉄所の取鍋の炉材は、寿命が限られていることがよく知られていますが、機械的衝撃による耐火レンガの破損によって耐用年数はさらに短くなる場合もあります。 炉材の摩擦や破損により、輸送取鍋の外側は溶融金属にさらされます。 手遅れにならないうちに発見しないと、取鍋が崩壊して溶融金属が流出し、作業員の命が危険にさらされ、設備が破壊される可能性もあります。

幸運にも、 サーモグラフィカメラ を使用すれば、目視検査よりもはるかに早期の段階で、問題の兆候を示す取鍋のホットスポットを検知することができます。 これにより、適切なタイミングで取鍋の使用を中止し、適時、最適な交換費用で炉材を張り替えることができます。

取鍋監視システム

フリアーシステムズのサーモグラフィカメラは通常、堅牢なハウジングに格納され、ガントリークレーンで移送される満杯の取鍋をしっかり確認できる位置に固定されます。 これらのカメラで取鍋の映像をリアルタイムで撮影し、取鍋表面の温度を計算します。 数台のカメラで取鍋の表面全体を撮影できますが、一般的には詳細な調査と解析を行うためにいくつかの関心領域(ROI)を事前に定義します。 不具合が発生しやすい関心領域の赤外線画像はPCメモリに保存して、後で現在の画像と比較することができます。 また、関心領域を定義することにより、フリアーシステムズのIR Monitorソフトウェアはカメラの視野角(FOV)の範囲内にある取鍋周囲の物体の高温部分を無視することができ、不必要なアラームの数を減らせます。

このような赤外線映像とそれに対応する温度データは、イーサネットと光ファイバーケーブル経由で業務用PCに送られるため、電気的ノイズの多い製鉄所の環境における問題を回避できます。

次に、ソフトウェアIR Monitorを使い、カメラの各画像フレームとPCメモリに保存された画像テンプレートを比較します。 ガントリークレーンのオペレーターは、画像を撮影するために特定の位置でクレーンを停止させる必要がないため、生産をスムーズに継続できます。 テンプレートに対応するカメラの視野角(または関心領域)部分が見つかったら、温度が計算されます。 温度があらかじめ定義されている取鍋のパラメーターを超えた場合、アラームが鳴ります。 アラームが作動する正確な温度パラメーターは、工場での経験に基づいて簡単に調整できます。

取鍋監視システムは事前に定義した関心領域(ROI)を自動的に認識し、測定温度と設定したパラメーターを比較します。

注意が必要な高温

温度が高すぎない場合、アラームは単なる警告となり、取鍋の転炉までの移送は続けられます。 その後オペレーターは警告時の温度とソフトウェアが行なったトレンド分析を比べ、取鍋が引き続き使用に耐えられるか判断します。

しかし、取鍋の温度が臨界値を超えた場合は、緊急アラームが作動し、ガントリークレーンの動作が直ちに停止します。 さらに、アラームメッセージと画像をイーサネット、メール、またはFTP経由で管理者のオフィスに送信できます。

混銑車

この用途は製鉄所の取鍋にしか使えないわけではありません。 同じシステムを混銑車の監視に使用することも可能です。 その目的は同じで、システムの主な違いは サーモグラフィカメラの取り付け方法です。 通常、カメラは、混銑車を転炉まで運ぶルートトラックの両側に設置されます。

混銑車は、溶融金属が注入される前に予熱され、溶融金属の硬化を防ぎます。 サーモグラフィカメラを使用すれば、この予熱プロセスを最適化することもできます。予熱時間とエネルギー消費を最小化すると同時に、溶融金属が硬化しない水準まで十分に加熱できます。 サーモグラフィカメラは予熱炎を感知し、耐火物の温度を安全な距離から監視することが可能です。 これにより、精度が低く、焼き切れやすい熱電対を使用する必要がなくなります。

通常のセットアップ

本ページの略図は、 FLIR A310  カメラを用いた工場の取鍋耐火物自動監視システムの通常のセットアップを示しています。 このカメラのアナログビデオとデジタル入出力によってカメラをスタンドアロンのスマートセンサーとして使用できますが、ほとんどの製鉄工場の用途では、コンピュータ制御された自動化システムでデジタルデータの保存とイーサネット回線による送信を使用しています。 A310のイーサネットインターフェースによってカメラのビデオ信号を事実上あらゆる場所へ送信できるため、複数の場所からの監視を促進します。

フリアーシステムズのIR Monitorソフトウェアを使用すれば、すべてのカメラ機能の制御、温度データの収集、赤外線画像の表示、データ解析の実施などを行えます。 オペレーターのディスプレイは、アラーム機能の主要インターフェースです。

 

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